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令和の米騒動に思うこと

 

平成にも米騒動はありましたが、令和にまさか米騒動が起きるとは思ってもいませんでした。

平成5年は冷夏が原因で作況指数が74まで落ち込み、備蓄もしていなかったので外国産米を緊急輸入しましたが、令和5年は猛暑による品質低下と収量減が主な原因とみられています。国は毎年備蓄米として20万トンを買い上げ5年保存しますが、流通量は十分ある(156万トン)として備蓄米の放出はしていません。

今年は正月から地震が続いたり、大雨による災害があったりと、防災意識が高まり備蓄にお米を買う方が増えたのも在庫が減った原因のひとつと思われますが、ここまで店頭に並ばないのは外食産業など大口顧客向けに確保した分も流通量に含まれているからではないでしょうか?

 

 

春先から始まった玄米の価格高騰は令和6年産の米の価格にも影響を与えています。

早場米が8月から刈り取りが始まり店頭に並び始めていますが、5kg袋で700円から1000円高と信じられないほど高値を付けており、いつまで続くのか見当もつきません。

毎月のように食品が値上がりする中でほとんど値上げのなかった米です。肥料や資材、燃料の高騰で苦しむ農家さんには朗報なのですが、これがさらなる米離れ、次の大暴落を招きはしないか心配しています。

国は平成20年以来の低い米の民間在庫量でも需要量は現在の方が100万トン以上少ないとして、これからも新規需要米(エサ米・ホールクロップなど)、小麦、大豆、飼料作物の生産を拡大する予定です。しかしながら、農業従事者の高齢化、人手不足は避けられず、大規模農家への集積も限界に近付きつつあります。2023年度の農業生産法人の倒産件数は81件で過去最多となっており、肥料価格や原材料高を背景に採算がとれない、価格に転嫁できないことが原因とされています。

 

1995年に食糧管理制度が廃止されて約30年、転作を中心にした減反政策に大変なお金が費やされてきました。しかし、現在の異常気象、安価な輸入農産物との競争、市場経済をもとにした価格の乱高下の元では安定した食料生産などできるはずもありません。

人口減少社会が始まっているからこそ、限りある財源でいかに安定した供給網を作れるのか、今回の米騒動は考える機会を与えてくれたのではないでしょうか?