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みどりの食料システムと肥料価格高騰対策

                                             農水省ホームページより

 

最初にみどりの食料システム戦略のことを聞いたのは2年くらい前のことでしょうか。

折も折、コロナが全世界に広まり物流が停滞し、食料の輸出規制を始めた国が出てきたころだと思います。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻を機に状況は一変。食料どころか食料を生産するための肥料も手当てするのに苦労しています。

農水省もまさかこの戦略を練った段階でこんなことになろうとは思ってもみなかったでしょう。

昨年から肥料はうなぎのぼりで改定につぐ改定で戦略はいきなり待ったなしの状況になっています。

 

 

その肥料価格の高騰にコスト上昇分の一部を支援する形の肥料価格高騰対策事業。

生産者の参加要件に化学肥料の2割低減(目標)が組み込まれているのですが、これでみどりの食料システム促進となるか?肥料コスト上昇分の7割を支援するというのですが、今一つ理解ができていません。

 

対象となる肥料は令和4年秋肥(6月まで遡って対象)から令和5年春肥として購入した肥料です。

生産者の参加要件は国が定める取組メニュー(土壌診断による施肥設計や有機質肥料の利用など)の中から2つ以上取り組むことが必要になります。⁻

支援金の金額は

支援金={当年の肥料費⁻(当年の肥料費÷価格上昇率÷使用逓減率)}×0.7 で計算されるとなっているのですが、これだけではわかりませんよね。正直今年の伝票を提出しただけでいくら上がったのかわかるのか?と思っていたのですが、価格上昇率は統計を基に農産局長が別に定めることとしており、実際に自分が買った肥料の値上げ分とはなりません。令和4年の秋肥、令和5年の春肥ともに別々に価格上昇率は決められます。

化学肥料の2割低減とは袋数なのか成分比なのかわからなかったのですが、そういうことかと納得しました。

 

使用逓減率が何かというと化学肥料使用量低減には時間がかかることを考慮して(1度には達成できないということで?)今年は0.9とするそうです。ちゃんと上がった分が補填できるのかというと怪しい気がしますが、コロナ補助金のようにスピード重視ということなのでしょうか?

 

 

先日、福島市の担当者の方と話す機会がありましたが、その時点で国からの受け皿となる県の協議会が発足していないことから申請方法や期限などはまだ未定となっているようです。

農家さんからも問い合わせがあるので決まり次第お知らせしたいと思います。

 

世界的な食糧危機と言われて久しいですが、決して日本も安心していられる状況ではありません。

時折ニュースにもなりますが、畜産農家さんのエサ代の高騰や肥料の高騰は収まる気配がありません。

海外では肥料を作りたくてもエネルギーの高騰を理由に作れないでいると聞いたこともあります。

円安で買い負けたり、買えても高騰に拍車がかかったら、いったいどれだけの人が農業を続けられるのでしょう?

 

食料は半導体のように足りなくなったら入荷は半年後とはできません。

安心して食料生産ができるよう、みどりの食料システム戦略が机上の空論とならないよう、進めていってほしいと思います。