今朝、ひとりのお客様がお越しになりました。
話を聞くと田んぼに見たことのない草が生えているとのこと。この方は長く田んぼを作っていらっしゃる大ベテランで近隣の田んぼを作る方からは一目置かれている存在です。すぐ会長に連絡し田んぼに向かってもらうことにしました。
しばらくすると会長が帰ってきて、テーブルに抜いてきた草を置きました。
「何でした?」と聞くと、「ホタルイ。あのままにしてはおけないから除草剤をもう一回まくから。」
田んぼをやっている方ならご存じかと思いますが、何年も前から抵抗性のホタルイは出ていて、丈が10cmにもなったものなら後期の除草剤をふる羽目になる厄介な草です。
お客さんが見たことないと言ったのは、それまで完璧に防除できていたためで、なぜ今年になって出てきたのか会長が聞き取りを行ってきました。
まず考えられるのは、除草剤をふる適期を逃したことです。これは、5月10日に田植えをし5月12日にフロアブル剤を撒いたということで問題なし。
では、水の管理はどうだったのか?ホタルイの生えている範囲が一部に寄っていたので聞いてみると、こちらも水を切らしたことはないとのこと。
フロアブル剤を撒いたとき風が強くなかったか?との問いには、確かに風は強い日はあった。しかし、そこまでとは思ってない。
上の写真を見てみると、真ん中のホタルイには種がついているのがわかります。
種があるということは去年そこの田んぼに大きくなったホタルイがあったということです。
推測されるのは、落ちた種が田植えをする前にすでに芽生え始めていた。代かきから田植えまで期間が開いたのか、除草剤の成分が何かしらの理由でそこだけ薄くなった。そのため残ってしまったというところでしょうか。
暑さの影響はアオミドロの発生にも大きく関わってきています。
「田んぼのアク」とも言われるアオミドロですが、最近の発生は頻繁で時には田んぼを埋め尽くし苗をつぶしてしまうほどです。これは、暑さで水温が上がっているのが原因と言われ、山手の冷たい水が入るところには発生しません。稲が大きくなってからなら影響は小さいですが、稲が小さいうちだと水温が上がらず、稲の成長を遅らせる原因となります。また、除草剤をふる場合、アオミドロの上にのってしまい除草成分が土壌につくことができなくなります。
そして、暑さの最大の影響が水分の蒸発量の増大です。
田んぼというと水をなみなみとたたえているイメージだと思いますが、暑い日には水深がはっきり下がったとわかるほど蒸発しています。どこか穴が開いているんじゃないかと疑いたくなるほどです。
そうなると、土の高い部分が顔を出し始め、せっかくの除草剤の成分が分解されていきます。
うまくいけば30日から45日ほど効いている除草剤ですが、暑さや強風など気象条件によって差が出てきますので
中干しの時期までは田んぼの状態を観察していただければと思います。
何か困ったことがありましたら、いつでも出動いたしますのでご相談ください。